ファクタリング手数料の交渉

ファクタリングの手数料の設定には法規制がないとういこと前回お話しただろう。ある程度の相場内で各社設定しているのだが、悪徳会社が闇金レベルの法外な手数料を設定したとしても法解釈上、違法行為ではないのだ。
逆にいくら値下げしても良いということになるが、ファクタリング会社にとってリスクが高い取引であり、各種コストもかかっているため、あまりに大幅な値下げは非現実的である。
しかし、交渉により手数料が引き下げられるケースが実際にあるので、試してみる余地はあるのだ。
手数料の内訳を理解する
ファクタリングの手数料を形成している大きな要素は「リスク」だ。
回収不可能という事態に陥るケースも十分考えられるのだが、銀行などの融資とはまったく本質が異なるので、担保や保証人もなく、さらに償還請求権がない契約なので(※)、ファクタリング会社にとってかなりリスキーな取引だと言える。
そのリスク分を手数料にあてているのだ。とは言っても、売掛先が飛ぶなど最悪の事態になれば、とても手数料で賄うことはできず大赤字になる。
その他の部分は“諸費用”だ。そこには以下のような費用がかかる
- 債権譲渡登記に必要な司法書士手数料
- 印紙代
- 交通費や出張費
これらは契約に必要な実費なので、カットすることはできない。
そして、この2つの要素を引いて残ったものがファクタリング会社の報酬分になるのだが、実際に計算してみると100万円の取引で6~10万円程度しか入らないケースが多いことがわかる。
ファクタリング会社はボランティア団体ではないので利益を出さなくては成り立たない。取引金額が高ければ同じような仕事量でも報酬分は高くなるので、この利益を還元して値下げしてくれる場合があるが、「報酬を減らせ」と言うのは酷なことだ。
こうなると見えてくるのが、値下げが可能な部分があるとするなら「リスク」の要素だ。
すなわち、ファクタリング会社にとってリスクが無ければ交渉は可能だと考えられないか?
(※:ありの場合もある)
リスクが少ないケースとは
ファクタリング会社にとってリスクを和らげる要因は、何と言っても「信用」だ。
初回利用時は、ハッキリ言って素性の知れない相手との取引になるため、信用しろと言うのも難しい話だろう。
2回、3回…と付き合いを続けていけば信用はついていくものだ。実際に2回目以降は手数料を安く設定している会社が多い。
最初からやみくもに値下げ交渉を行うのは賢明ではない。交渉するのであれば合理的に説得できる要素が必要だ。
売掛先企業の信頼性をアピールする
売掛先から入金が遅延したり実行されないことを最もおそれているので、売掛先企業が安全性・信頼性を説明しよう。
売掛先が名の知れた大手企業ならばアピールの必要もなく値下げしてくれる可能性があるだろう。
3社間取引・2社間取引
2社間取引は3社間取引と比べ手数料が10~20%ほど高くなっている。
もし売掛先を交えた取引を行うことに支障がないのであれば、3社間取引を選択するのも手数料を安くする方法だ。
しかしそれが難しく、2社間取引にこだわっているのであれば、あらかじめその意向を伝えておこう。
意思疎通ができていない上で値下げ交渉をしても、3社間取引を提案されて終わってしまうだろう。
初回1度の利用で値切ることよりも、信用を重ねて良好な関係を築くことを重視したほうが、結果として手数料の値下げにつながることが多い。
取引実績のない初対面の相手から「もっと安く」と値切られたら、あなたはどう思うか?
担当者もあなたと同じことを感じるはずだ。