コネを使って銀行融資を引っ張ることは可能なのか?考えられるケースを解説

銀行融資にはとても厳しい審査が設けられているが、コネや人脈を使えば通過することができるという噂があり、過去には巨額詐欺事件としてその存在が表面化したことがある。現在ではどうなのか、事件の内容や融資の仕組みに触れながら検証する。

融資とコネや人脈の関係

コネや人脈は融資に関係あるのか?

一般的に審査が厳しく、特に零細会社や中小企業にとっては実用的ではないとも言われる「銀行融資」。
年率が低いことが大きな魅力だが、都市銀行からの融資ともなるとハードルはかなり高くなっている。
審査には会社の財務状況を表した財務諸表をはじめ、今後の事業内容や返済計画を記した事業計画書や資金繰り表といった、会社の状況を丸裸にした書類の提出が必要で、これをベースに融資の可否の判断が下される。
それだけではなく、納税状況や自己資本率、担保、経営者の素質など信用に関わるものは徹底的に調査されるのだ。

しかしその一方で、「コネや人脈さえあれば審査は通る」と言ったたぐいの話も耳にしたことがあるのではないだろうか。

実際にコネクションさえあれば銀行融資を成功させることが可能なのだろうか?
今回は、“融資とコネ・人脈”に焦点をあてた話をしよう。

コネと人脈とは?

銀行融資の可否に関わるようなコネや人脈とは、いったいどのようなものがあるのか?
いくら銀行の関係者と付き合いがあると言っても、新人社員や平社員との親交程度では、影響があるとはまず考えられない。
また、支店長以上の影響力を持った関係者とつながりがあるとしても、「知り合いの知り合い」や「お客さんの義理の兄弟」のように関係性が遠ければ、それは強力なコネとは言い難い。

たとえば「家族・親戚に支店長クラスの行員がいる」「重役と長年親しい付き合いがある」といったレベルの太く短いパイプでつながった人脈でもなければ、審査に影響が出るとはとても考えられない。

コネ融資は存在するのか

前項で挙げた強いコネを実際に持っているとしよう。そして、会社の業績から考えると銀行融資は難しいと考えた方が妥当な状況だとしたら。
結論を言うと、銀行融資は難しい。一般論になるがコネや人脈で銀行融資の審査が有利なる事はないのだ。

まず原則として、銀行はコネによる融資を禁止している。
そして審査決裁の仕組み上、コネクションが介入することは困難と言える。
銀行員にとってこの2点をクリアするだけでも、非常にリスキーなことなのだ。コネ融資が現実的ではない理由をより詳しく説明しよう。

コシ・トラスト事件

コネによる融資はないとの結論をあげたが、過去では実際にコネ融資が行われていたことも事実だ。
2009年に起きた「コシ・トラスト事件」は、コネ融資が背景にある。

三井住友銀行が新興不動産会社「コシ・トラスト」に巨額の融資金を騙し取られたこの事件。三井住友銀行はコシグループに対してなんと総額612億円もの融資を行っていたという。このうちの約170億円が焦げ付いて回収不能になったと言うわけだ。
事件が明るみになるまで知名度もなく大手企業でもないコシ・トラストが、なぜメガバンクから巨額な融資を受けることができたのか?それは銀行の紹介融資、つまりコネ融資を利用して現金を引き出したのだ。

融資で知り合った三井住友の行員を高級クラブや風俗店で接待し、さらに家賃を肩代わりするなどして囲い込み、この行員と共謀して巨額の資金を引出したのだ。
この詐欺事件をきっかけに、銀行ではコネ融資が全面的に禁止となった。被害額も多額だったため、銀行内でのチェック体制も厳しく強化され今日に至っている。

決裁権限

審査の基本的な流れを説明しよう。
企業から融資依頼を受けた担当行員は、提出された必要書類を分析し融資が可能であるのかを検討する。
見込みがあると判断したら、会社の将来性や展望なども踏まえ、融資を実行させるために説得力のある素材を用意し、上司、そして本部の審査担当者へ回す。
引き継いだ審査担当者は提出書類や情報をさらに精査し、通過すると審査部署の上役など決裁権限のある者が融資可否の最終判断を下すのだ。
各銀行や融資の内容によってフローに違いはあるが、大まかな流れとしてはこういった仕組みであると考えてよい。

仮に、審査の第一段階である支店などの担当行員とコネクションがあったとしても、この行員にはそもそも決裁権限はないので融資の可否への影響はない。
しかし人間なので情はあるし、格好もつけたいところだ。担当行員はなんとか融資を成功させようと尽力してくれるだろう。審査担当者へ猛アピールしてくれるかもしれない。これは確かに審査でプラスにはたらく可能性もあるので、コネの恩恵と言えるかもしれない。

だが「私の家族・親戚です」「私の命の恩人です」とアピールしたところで、決算書の数字が変わるわけではないし、会社業績が上がるわけでもない。現実は変わらないのだ。
また、担当行員にとってこの行動がマイナスとなるリスクもあるのだ。先述の通りコネ融資は禁止されている。
禁止されている行為を率先して行う部下を、上司はどう思うだろうか?

コネにより融資が成功するということは現在では考えられないが、銀行関係者との人脈を作っておくことは会社経営では需要なことだ。
融資の審査へ直接影響がでることはないが、銀行とのコネを持っておいて損はない。